実際に家計相談を受けているFPさんとクレジットカードの話をする機会がありました。
FPさんによると、「クレジットカードでお得どころか損をしている人はけっこう多い」とのこと。持っているだけで何となくお得になったような気がするクレジットカードですが、損をするケースがあるというのです。「家計相談のときに無駄クレジットカードはばんばん切ります」とは、FPさんの談。
前回の副業記事で「お得さの逆の発想。お得じゃない副業とは何か?」という話をしました。今回も逆の発想で、「損をするクレジットカードの使い方」をテーマに説明したいと思います。
FPさんに聞いたクレジットカードで損をしている7つのケースをご紹介します。
クレジットカードを持っているからお得!・・・それは幻想です
生活のお得情報を検索していると、必ずと言っていいほど登場するのがクレジットカードです。
クレジットカードで買い物をするとポイントが付きますよね。賢くポイントを稼ぎながらクレジットカードを活用すれば、確かにとてもお得かもしれません。
しかし、世の中のすべての人がそこまで計算してクレジットカード活用しているでしょうか。
「とりあえず作っておこう」でクレジットカードを作成し、財布に眠らせている人もいるのではないでしょうか。お店の「お得ですよ」の言葉に何となく頷いて、クレジットカードを作成して終了という人もいるのでは?
それは本当にお得でしょうか?
実は、損をしていませんか?
実際に、クレジットカードで損をしているケースがあります。上手く使えばお得なはずのクレジットカードで損している7つのケースを見て行きましょう。
クレジットカードが財布の肥やしになっている
クレジットカードは使ってこそ意味があります。決済に使わないとポイントが付きません。
ポイントが付かないと、そのポイントで買い物がお得になることもありません。クレジットカードを財布に入れているだけでは、まったくお得ではないのです。むしろ、発行手続きという労力や、クレジットカードが財布を圧迫しているという点で、損しているとさえ言えるかもしれません。
うっかり落としてしまうと不正使用のリスクがあるため、使わないクレジットカードによるリスクも背負い込んでいることになります。ますます損です。
クレジットカードは使わなければ意味がない。使わないとポイントも付与されず、お得になることもない。基本中の基本です。クレジットカードを財布の肥やしにしている人は、そのクレジットカード、本当に必要ですか。リスクや管理の手間などを考えると、むしろ損しているのではないでしょうか。
使わないのに年会費だけ払っているというムダ
クレジットカードをお店のすすめで何となく作った。
ネットでよく「お得だ」という言葉を見るので、何となく作ってみた。
クレジットカードのステータス性に惹かれて、とりあえずゴールドやプラチナを作ってみた。
このようなタイプにありがちなのが、作るだけ作って使わないパターン。しかも、ただ使わないだけではありません。何となく年会費だけ払い続けているケースがあるのです。
クレジットカードには年会費がかかるタイプとかからないタイプがあります。かからないタイプの代表格は量販店のクレジットカード。かかるタイプの代表格は、プロパーカードやランクカードです。
クレジットカードのランクが上がれば、それだけ年会費も割高になります。一定条件を満たすことで年会費が免除されるクレジットカードもありますが、その一定条件とは基本的に決済に使うことなので、満たすことは難しいはずです。
クレジットカードを作成して使わず放置状態だと、年会費のこともあまり考えていないはず。口座引き落としのときに「これは何のお金だ?」なんて首を傾げてしまうことも。
使わないなら、年会費を払うだけ無駄です。解約を検討してはいかがでしょう?
なお、クレジットカードのゴールドやプラチナ、ブラックなどの場合、ランクを落とすことも可能です。一般カードは年会費無料で年会費ありのランクカードを持っている場合、カード会社に連絡して年会費なしのクレジットカードへとランクを落としてもらうのもひとつの方法です。
ポイント稼ぎのために無理にクレジットカードを使っている
クレジットカード決済でポイントを貯める喜びを覚えてしまうと、無理に決済を使ってしまうことも。
たとえば、もう少し買い物をすると、ポイントプログラムのワンランク上が適用されるとします。ポイントプログラム(別の名前の可能性もあり)は多くのカード会社が採用しています。年間決済額が多いと、翌年のポイント還元がアップするという仕組みです。
ポイントプログラムのランクが高いほどポイント還元がお得になるため、「あとちょっとで上のランクに行く」というときに、ムダな買い物をしがちです。後から「いらない買い物だったな」と反省することもあるはずです。
ポイント還元という利益に踊らされて、しなくて良い買い物をすることがある。これがクレジットカードです。ポイント還元されたポイントは、1ポイント1円~3円くらいの価値ではないでしょうか。
クレジットカードによって1ポイントあたりの価値は異なります。ですが、ちょっとポイントが増えたくらいでは、コンビニでお菓子を買うときにも使えない程度の金額にしかなりません。ポイント還元のためにムダな買い物をするより、現金そのものを節約した方がお得ではないでしょうか。
ポイント還元やポイントプログラムを考えて決済するときは、本当にお得になるかよく検討したいものです。
クレジットカードをたくさん発行して利用している
クレジットカードは1枚に絞って活用すれば、そのクレジットカードのポイントがどんどん貯まります。しかし、たくさんのクレジットカードを決済に利用してしまうと、ポイントが分散するため、お得さとはほど遠くなってしまう可能性があります。
たとえば、ABCの3枚のクレジットカードがあったとします。300ポイント分の決済をするとして、別々のカードで決済すれば300ポイントは分散。「ポイントを使いたい」というときに、一気に使えなくなります。
一気に使えれば一度の買い物で使えるのに、3枚に分散していると基本的に三度の買い物でそれぞれのカードのポイントを使うことになるはず。買い物を3回する時点で、使用金額の点で損をする懸念も。
リボ払いなどのポイントアップキャンペーンを利用している
クレジットカードの場合、リボ払いを利用するとポイント還元がアップするキャンペーンが頻繁に行われています。「ポイント還元アップ。ラッキー」と思ってリボ払いを使うと、思わぬ損をすることに。
リボ払いは分割払いとは異なります。分割払いは分割の回数を指定しますが、リボ払いは1回あたりの支払い金額を指定します。自分の払いやすい少額を指定すると、何時まで経っても払い終わらないことに。
リボ払いは手数料(金利)がかかり、しかもその手数料(金利)相場は15%前後。かなり高めです。リボ払いでアップしたポイント還元分のポイントなど、リボ払いの金利手数料で吹き飛ぶことでしょう。そもそも、リボ払いで相場の高い金利手数料を負担するからこそ、ポイント還元がアップするという考え方もできるわけで・・・。
ポイント還元アップなどを目当てにリボ払いを使っても、けっきょく金利手数料などでマイナスになっていることがほとんどなのです。
クレジットカード利用料の滞納で信用情報に傷がつく
クレジットカードは、使った分を決まった日付にまとめて引き落としされるかたちで支払います。
きちんと引き落としされればいいのですが、ときに「使っていたときは良かったが、冠婚葬祭と重なってお金が無くて」といった事態になることも。引き落としができなくても大目に見てもらえるでしょうと考えていると、思わぬ損をすることになります。
信用情報です。
信用情報とは、その人の金融関係の契約や支払いの履歴が書き込まれる信用(クレジット)の情報になります。滞納があると、この信用情報に滞納歴が記録されるルールです。
数日程度の滞納は信用情報に記録されないという話をよく聞きます。ですが、何度も何度も滞納を繰り返していたらどうでしょう。2カ月ほどの滞納を続けていたら、どうなのでしょう。このあたりの滞納になると、さすがに信用情報に傷がつく可能性が高くなります。
信用情報の滞納歴は一定期間で抹消されますが、抹消までの間に、本当に必要だと思うクレジットカードと出会ってしまったらどうでしょう。大きな買い物をするため、一時増枠や永久的な増枠をしたいと考えていたら?
信用情報はクレジットカードの審査やサービス利用にも影響するため、「本当に必要なとき」に信用情報が足を引っ張る可能性は考えておきたいもの。つまり、将来の自分の損です。
クレジットカードを持っているということは、支払いに利用する可能性があるということ。支払いに利用すれば、引き落とし日にしっかりお金を用意しておかないと、滞納してしまうということ。滞納の長さや頻度によっては、信用情報に記録されること。そして、信用情報に記録されることにより、将来的なサービス利用やクレジットカード発行がマイナスの影響を受ける可能性があること。知っておきたいマイナスの可能性です。
現に滞納した経験のある人は、クレジットカード利用について再考することをおすすめします。
支払いのクレジットカード決済で損する可能性あり
クレジットカードでとにかく支払いをしておいた方がお得だと思うかもしれません。しかし、中には口座振替の方がお得になる可能性の高い支払いもあります。
たとえば、東京都の水道料金。水道料金自体は口座振替でもクレジットカードでも支払えます。ですが、口座振替の方だけに割引がついているのです。口座振替を選択すると、月あたり50円引き。年間で600円引きになります。
クレジットカードのポイント還元が仮に1,000円で1ポイントだとすると、月50円引きの方がクレジットカードのポイントを受け取るよりお得になる可能性が高いはず。
決済はとにかくクレジットカードがお得だと思いがちですが、ときにはクレジットカード決済以外の方がお得なケースもあります。支払い方法ごとに特典がついていないかよく見ることが、損回避のポイントです。
ネットでお得情報を検索すると、必ずといっていいほどクレジットカードの名前が出てきます。しかし、クレジットカードを持っているだけでは、お得さは遠いのです。
今回も「逆にお得ではないものは何か」をテーマにお話しました。この機会に、財布の中を見直してみてはいかがでしょう。見直す中で、クレジットカードとのおつき合いが見えて、真のお得さに繋がるかもしれません。