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夏目漱石の世界|代表作やおすすめ作品など

夏目漱石は日本の文豪のひとりです。

学校の教科書に作品が掲載されていましたので、「授業中に話の途中まで読んだ」という人も少なくありません。中には「続きが気になって図書館に行った」「図書館で借りようとしたらクラスメイトが借りていた。みんな、考えることは同じだった(借りられていた)」「初めて読んだ文学作品が夏目漱石だった」という人もいるかもしれません。夏目漱石の独特の作風と世界観は惹き付けられますよね。

 

夏目漱石は日本のお札にも選定されたことのある偉人でもあります。夏目漱石の作品を読んだことのない人でも、日常的に(千円札として)夏目漱石の姿は見ているのではないでしょうか。

今回の記事では日本を代表する文豪のひとり、夏目漱石について取り上げます。来歴やおすすめの作品などを説明し、夏目漱石作品を手軽に読める書籍やサイトも紹介します。夏目漱石の作品と世界にぜひ触れてみてください。

夏目漱石とは?

夏目漱石とは「坊ちゃん」「こころ」「吾輩は猫である」などを書いた作家です。明治から大正にかけて活躍しました。夏目漱石が現代の文章や言葉に果たす役割は大きいと言われており、現代使われている言葉や書き言葉を多く生み出した文豪としても知られています。

肩がこる。

現在は一般的によく使われている言葉です。仕事をして「あ~肩がこった」など、日常会話でもよく使われますよね。この「肩がこる」という言葉を生み出したのも夏目漱石だと言われています。

夏目漱石が「肩がこる」と使う前は「肩がはる」と使われていたのだとか。夏目漱石が「門」という作品の中で「肩がこる」とはじめて使ってから言葉が普及したそうです。このように、夏目漱石は現在普通に使われている言葉や表現、文章に大きな影響を与えている存在になります。

また、来歴のところで詳しく説明しますが、夏目漱石は学者や教師、俳人なども顔を持っています。学業も優秀だったそうで、多方面に才能のあった文豪だと言えるでしょう。現在で言うところの、会社員(教師)をやりながら執筆していた文芸作家という感じかもしれません(やがて職業作家になりますが・・・)。

夏目漱石の代表作

夏目漱石の代表作には「坊ちゃん」「吾輩は猫である」「こころ」などがあります。このあたりは国語の教科書や授業などで触れた人も多いかもしれません。夏目漱石はこの他にも「夢十夜」など、評価の高い文学作品を多数発表しています。

夏目漱石の代表作の中からいくつかご紹介します。

代表作①「こころ」

学校の国語の教科書で読んだという人も少なくない「こころ」。ある男性の過去の後悔や親友を傷つけた悔恨が中心になっている作品です。

ある少年は海岸で先生と呼ばれる男性と仲良くなります。そんな先生からある日、過去を告白する手紙が届きました。先生はかつて親友と共に下宿しており、下宿先の娘に恋をしていたと言います。しかし、同じく下宿していた親友もまた、娘に恋をしていました。

先生は親友に娘への恋心を打ち明けられていながらも、先に娘の母親(未亡人)に娘との結婚の約束を取り付けるのでした。親友を裏切るかたちで娘をかすめ取ってしまったわけです。結果、親友は自殺し、先生の中には深い悔恨だけが残りました。

その後、先生は娘と結婚したのですが、心の中には何時も複雑な感情があります。やがて先生も過去の拭い去れぬ気持から自殺を考えるようになり・・・という話です。

人間の気持ちの複雑さや悲しさ、過去や感情に影響される登場人物の「こころ」を巧みに描いた名作です。

代表作②「吾輩は猫である」

「吾輩は猫である」は日本文学の代名詞のように扱われる有名な作品です。夏目漱石の処女作でもあり、代表作のひとつにも数えられています。

吾輩は猫であるは、タイトルの通り猫の視点で物語が展開します。子猫のときに母や兄弟と引き離され捨てられてしまった猫が主人公です。捨て猫は何とか生きて行こうと一軒のお宅でご飯をねだります。しかし、家政婦に追い出されてしまいました。それでも諦めずその家でご飯をねだっていると、家の主が「置いてあげなさい」と言うではありませんか。以降、猫はその家を住居に、人間たちを観察しながら生活するのでした。

家の家族もすべてが猫に好意的だったわけではありません。また、家にはさまざまな人がやって来ます。猫はユーモラスな語り口で人間たちを評する様や、猫には猫の事情や感情があるのだなと思わせる様はさすがです。人間たちの楽しくも大変で、ときに悲しく滑稽な生活を、自分が本当に猫になってしまったような視点で楽しめる小説です。

猫の視点なので可愛らしい物語を想像しますが、物語のいたるところに人生の悲哀のようなものが感じられるところも特長的です。

代表作③「夢十夜」

夢十夜は「こんな夢を見た」からはじまる短編集です。朝日新聞で連載されていた小説になります。一夜ごとに語られる不可思議な夢はどこか奇妙であり、不気味であり、幻想的です。

たとえば第一夜。主人公である自分はある女性から愛を告白されます。しかし、その女は死ぬ間際であり、告白を受けたところで先はありません。だからなのか、女は「百年待っていてください」「きっと会いに行きますから」と主人公である自分に伝えます。

主人公である自分は女の言葉にうなずき、告白した後に死んでしまった女の墓穴を掘りました。穴を掘り、日が沈む回数を数えていると、やがて真っ白な百合の花が咲きます。百年の末に咲いたのは白い百合の花でした。・・・いかがでしょう。どこか不思議で奇妙な夢の話ではないでしょうか。

夢十夜では夜ごと、夢ごとにさまざまな夢が語られます。中には「怪談話ではないか」と言われるような夢もあり、美しい夢、切ない夢、意味の分からない夢、怖い夢などを楽しめる秀逸な短編です。

それぞれの夢にファンがいますが、中でも第一夜の美しさは人気があります。

百年の末に咲いた白い百合。主人公である自分は白い百合の姿に「ああ、百年の月日が経ったのだな」と気づき、白い百合に接吻します。この描写が美しいと評判です。しかも、百合の花は「百」「合う(会う)」と書き・・・と、読者の想像を掻き立てる名作です。

夏目漱石の来歴

夏目漱石は巧みな心理描写と象徴的な描写が特徴的な作家です。ハッピーエンドでは終わらない人生の悲喜を描く作家でもあります。

夏目漱石の作風や世界観にはその人生が関係していると言われています。

夏目漱石の生まれた家は祖父が浪費家で、父親もやがて浮気をしてしまいます。夏目漱石は五男であったため、里子に出されてしまいますが、姉から生まれた家に連れ戻されます。しかし、再び里子に出されるなど、波乱万丈の人生でした。実家は傾きかけ、養子に出された先は家庭内不仲であったと言われていますので、小さな頃から大人の事情や家の事情に翻弄されていたと言えるでしょう。

名士の家に生まれながらも人生を翻弄されてきた夏目漱石は学問で頭角を現し、やがて東京大学で学ぶようになります。特に得意だったのは英語で、翻訳などでは飛びぬけた素養を見せていたと言います。しかし、この頃になると兄弟など近しい家族と死に別れたことも一因となり、すっかり世の中や人が嫌になって、厭世主義をこじらせていたそうです。

大学卒業後に英語教師になりますが、2年で辞職。神経衰弱状態に陥ります。結婚もしますが、妻とも上手くいきません。さらに精神疲労を抱える日々です。そんなとき、イギリス留学の機会を得て海外に行きますが、やがて帰国。帰国後も教師・講師として働きますが、生徒には「講義が固すぎてつまらない」と不評でした。さらに生徒の自殺が重なります。

実家。家族。妻。仕事。・・・ふっと疲れたときに高浜虚子に勧められて「吾輩は猫である」を執筆します。

夏目漱石の歩んだ人生を知ると、何となく「吾輩は猫である」と書きたくなってしまう気持ちも分かる気がしますよね。

夏目漱石のおすすめ作品

夏目漱石作品なら、まずは有名な「吾輩は猫である」「こころ」などを読んでみることをおすすめします。

この他におすすめなのが、「坊ちゃん」です。「坊ちゃん」は夏目漱石の代表作のひとつでもあります。

「坊ちゃん」は主人公である坊ちゃんの人生を描いた作品です。

子供の頃から不器用で真っ直ぐだった坊ちゃんは周囲と折り合いの悪い子供でした。そんな坊ちゃんの唯一の理解者は、坊ちゃんの家で働いているおばあちゃんの清。清だけは坊ちゃんの真っ直ぐなところや不器用なところ、正義感の強いところを理解し、話も聞いてくれます。

しかし、やがて坊ちゃんの両親が亡くなり、家を売り払うことになりました。坊ちゃんは遠方で教師になります。清ともお別れです。

坊ちゃんの教師生活がはじまりますが、同僚や生徒とぶつかることもあり、なかなか上手くいかず・・・という物語です。

坊ちゃんはドラマや映画にもなった名作です。

最後に

日本を代表する文豪、夏目漱石について紹介しました。

夏目漱石は「吾輩は猫である」などが有名ですが、他にも人生の悲しみや豊かさ、楽しさ、切なさを感じられる素敵な作品が多数あります。現代にいたるまで読み続けられているということは、そこに変わらぬ価値と人の心を動かす何かがあるのではないでしょうか。

ぜひ一度読んでみたはいかがでしょう。

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