木にはさまざまな加工方法があります。曲げ木細工(曲木細工、曲げ木加工)もそのひとつです。
伝統的な加工方法である曲げ木細工の製品はシンプルながら存在感があり、自宅用・職場用としても人気があります。職場用としてはデスクやチェアーとして使うというより、オフィスをお洒落にしたくて取り入れる方が多いかもしれません。
今回は曲げ木細工の伝統的な技術や歴史、曲げ木の技術が使われたおすすめ家具をご紹介します。自室やオフィス用の家具として曲げ木細工を取り入れてみてはいかがでしょう。
曲げ木細工(曲木細工)とは?
曲げ木細工とは、木材を曲げて加工する技術です。
木材の場合、切ったり釘を打ったりする加工方法を想像する方が多いのではないでしょうか。曲げ木細工は木の特徴と作用を利用して、木材をそのまま目的のかたちに曲げて加工する技術なのです。
たとえば、家具にするので木材を円形にしたいとします。曲げ木細工の場合、まずは木に水分を染み込ませます。水や蒸気を染み込ませると木が柔軟になりますので、そこに熱や圧力を加えて円形に加工するわけです。水や蒸気、熱、型などを使い分け、木を曲げて加工する技法が曲げ木(曲木)になります。
曲げ木細工は曲げ木の技術で作った細工物のことです。
曲げ木細工の歴史
曲木細工はアメリカやドイツなどいくつもの国で伝統技術として発達しました。
近代的な曲木細工の技術はドイツで発達したと言われることもありますが、日本だって負けてはいません。なぜなら、日本は、古くは平安時代から曲木細工を作っていたからなのです。日本には1000年くらい前に、すでに広い意味での曲げ木の技術があり、製品が存在していました。
日本の有名な曲げ木細工としては「曲げわっぱ」があります。秋田県の大館郷土博物館では平安時代に作られた曲げわっぱを見られるそうです。日本は昔から曲げ木の技術を使って物作りをしていたわけですね。秋田県には日本で唯一の曲げ木細工の家具のみ制作している有名な工房「秋田木工」もあります。
ただ、現在のように曲げ木細工を大量生産できるようになったのは、やはりドイツで曲げ木家具製作の技術が進んだからだと言われています。手作業や昔ながらの道具では大量製造は難しかったのです。日本ではドイツの技法を取り入れて曲げ木細工の家具が作られています。
曲げ木細工の製品
曲げ木細工はさまざまな製品の製造に使われています。
たとえば、一昔前のテニスのラケットなどは枠が木製でした。テニスラケットの楕円形の木の枠にも曲げ木細工が使われていました。
また、曲げ木細工は軽量家具の製造にもよく使われています。曲げ木の技術がよく使われている家具としては椅子などがあります。
曲げ木細工の家具については作っている様子を動画で見ることも可能です。秋田木工が動画をアップしていますので、ぜひご覧ください。
曲げ木細工(曲げ木細工)の家具の魅力
曲げ木の家具をはじめとした曲げ木細工製品には4つの魅力があります。魅力を見れば昔から現代にいたるまで曲げ木細工が愛され、現在も製品が販売されている理由が分かるのではないでしょうか。
魅力①シンプルさの中に温かみがある
曲げ木細工の特徴は曲線的な柔らかさです。木工製品には木特有の温もりもあるため、シンプルですが優しく温かい印象の家具になっています。
魅力②木そのものを楽しめる
曲げ木細工は木そのものを曲げて作ります。木は一本ずつ、そして枝や幹ごとに違った色合いや紋様が楽しめますよね。曲げ木細工に使われる木も、素材ごとに、木材ごとに表情が異なります。年輪や色合いなど、素材になったオンリーワンの木の表情、そして木そのものを楽しめる点が曲げ木細工の魅力です。
魅力③加工により強度や耐久性が増す
曲げ木細工の加工をほどこすことで家具の耐久性や強度が増すというメリットがあります。しっかりとした作りの曲げ木細工の家具であれば、数十年以上壊れることなく活躍するケースも珍しくありません。
見た目は曲線の美しく温かみのある家具で、中には華奢なタイプもあります。しかし、曲げ木細工の家具は見た目以上に頑丈で耐久力があり、長く安心して使えます。
木の家具は色が変化するところも魅力です。曲げ木細工の家具も長持ちしますので、自然な色の変化を楽しむことも可能です。
魅力④北欧から和風までさまざまなインテリアにマッチする
曲げ木細工の家具はシンプルな木の家具です。技術は光りますが、家具のデザインとして装飾の多いタイプではなく、自然な木の風合いや技術を楽しむタイプの家具になります。
木製の家具は和風の家にも合いますが、北欧や西欧のインテリアにも馴染みます。シンプルな木製家具だからこそどのようなインテリアにも馴染むのが曲げ木家具の魅力です。
曲げ木細工・曲げ木加工による家具
曲げ木細工・曲げ木加工の家具の中からおすすめを厳選してご紹介します。
秋田木工 Akimoku BENT WOOD ダイニングチェア 軽量 曲木 ブナ
曲げ木細工の技術で作られたシンプルな椅子です。シンプルでありながら背もたれの曲線には温かみがあります。家庭用としても使えますが、事務所の椅子などにも使えるタイプです。
こちらの椅子は座面やフレームの色を選ぶこともできます。自宅の床や他の家具、事務所の雰囲気などにあわせて選べるため、インテリアに取り入れやすくなっています。
大塚家具 秋田木工 ラウンジチェア 「500EB」 ブナ材 EBクールグレイ色
グレーと木の色、2色になっている曲げ木細工の椅子です。背もたれの部分が緩やかにカーブを描いており、曲げ木の技術が存分に活かされていることがひと目で分かる作りになっています。
こちらは座面が広く座りやすいタイプになっています。自宅の食卓用椅子に良いかもしれません。色がお洒落に工夫されているため、食卓が一気に洒落た空間になることでしょう。
大塚家具 秋田木工 ラウンジチェア「508EB」ブナ材 白木塗装
曲げ木細工の曲線を目いっぱい楽しめるタイプの椅子です。
注目したいのは背もたれの曲線。伝統の技で木を曲げてこの緩やかな曲線を作っているわけだから、思わず唸ってしまいますよね。
シンプルな色、デザインですが、職人の技が光る椅子ではないでしょうか。
最後に
曲げ木細工についてご紹介しました。
曲げ木細工により家具や小物を作る技術は昔からありました。ただ、曲げ木細工の家具を大量生産できるようになり、気軽に購入できるようになったのはドイツの技術が日本に入ってきたからだと言われています。
曲げ木細工の家具はシンプルで家にもオフィスにもよく馴染みます。長く使える家具なので、ぜひ気に入ったものをひとつ購入してみてはいかがでしょう。
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