星が輝いていたとします。
きらきら
ぴかぴか
ふたつの表現を比較すると「印象の違い」があることに気づきませんか?
きらきらとぴかぴかでは同じ「星が輝いている」という表現でも、想像する輝き方が違うはずです。
また、「にやりと笑った」「くすっと笑った」では、やはり受ける印象が違うのではないでしょうか。
言葉や単語の音によって受ける印象・想像するイメージが変わってくることを「音象徴」といいます。音により象徴(印象やイメージ)が変わってくるため、音象徴です。
音による印象やイメージの違いはビジネス分野でも活用されています。商品やサービス、会社の名づけなど、音によって消費者側が受ける印象が変わってくるからです。
音による印象・イメージの違い「音象徴」について説明します。
音象徴とは?
音象徴とは「音による象徴(受ける印象やイメージ)の違い」とのことです。
冒頭でお話しした「きらきら」と「ぴかぴか」の違いや、「にやり」と「くす」の違いなど、音によって受ける印象が違ってきます。
この他にも、風が吹くときの「そよそよ」「びゅうびゅう」なども音象徴です。そよそよは微風を想像するのではないでしょうか。びゅうびゅうはより強い風のイメージがあるのではないでしょうか。
音象徴とビジネスや日常との関係は?
音象徴は商品やサービスにも関係してきます。
たとえば、「かちかちアイス」と「ぱりぱりアイス」という2つの商品があったとします。
かちかちアイスの「かちかち」からは歯が立たないような固い印象を受けるのではないでしょうか。ぱりぱりアイスの「ぱりぱり」はぱりっと軽く齧れて、チョコレートのような歯ごたえの良いものが使われている印象があるのではないでしょうか。
音象徴は商品やサービスにも使われています。音(言葉)の使い方で商品やサービス、会社のイメージが変わってくるため、売りたい層にアピールするためにも重要なことなのです。
日常の中でも自分のイメージを伝えるために、無意識に音象徴を利用していることがあります。たとえば「雨がざあざあ降ってきた」。伝えたいイメージを考えて「ざあざあ」という言葉を選んでいることがあるのではないでしょうか。
このように、日常やビジネスにも音象徴は関係してきます。
音は2種類に分けられる
音象徴は大きく2つのタイプに分けられます。
・阻害音
・共鳴音
阻害音とは?
阻害音は濁点などで濁せる音のことで、全体的に「固い」「近寄りがたい」印象を受けやすい音のことです。
以下の音(行)は阻害音に分類されます。
か行、さ行、た行、は行、が行、ざ行、だ行、ば行、ぱ行
たとえば、か行。
「かちかち」「かんかん」「きんきん」「こちこち」。固さを感じる音・言葉が多くなっています。
さ行はどうでしょう。
「しんしん」「しずしず」「せつせつ」。静かな印象を受け、「この雰囲気を壊してはいけないな」という近寄りがたさを感じるのではないでしょうか。
共鳴音とは?
共鳴音とは全体的に「丸い」「親近感を抱きやすい」音のことです。
以下の音(行)は共鳴音に分類されます。
な行、ま行、や行、ら行、わ行
たとえば、な行はどうでしょう。
「にゃあにゃあ」「ねえねえ」など、どこか可愛らしい、そして丸く柔らかい印象があるのではないでしょうか。
ま行はどうでしょう。
「まあまあ」「みんみん」「めえめえ」など、可愛らしい動物の鳴き声や、親しみやすさの印象があるのではないでしょうか。
このように、共鳴音と阻害音では印象・イメージが変わってきます。
濁音や母音のイメージとは
阻害音や共鳴音の違いの他に、音の印象には濁音や母音なども関係してきます。
濁音や母音にもそれぞれ印象があり、その印象が言葉の印象・イメージにも関わるわけです。
母音の印象は?
母音とは「あいうえお」のことです。
母音には強さや大きさという印象があると言われています。ただ、母音の中でも大きさや強さには違いがあります。
たとえば「あ」と「い」。「あ」と「い」ではどちらが大きい印象があるでしょうか。「あ」の方が大きく、「い」の方が少し小さな印象があるのではないでしょうか。
母音の大きさや強さは発音のときの口の大きさに関係すると言われています。「あ」と「い」では、「あ」の方が口を大きく開けて発音します。そのため、「あ」の方が大きく強い印象を受けるわけです。
濁音の印象は?
濁音は濁点のついた音のことです。
ごろごろ
ころころ
どうでしょう。
このふたつの言葉(音)では印象が変わってきます。
「ころころ」は小さな石が転がる印象です。「ごろごろ」はより重量感がありますよね。大きな石が転がってくる印象を受けるのではないでしょうか。音に濁点がつくと、濁点がついていない場合より重量感や大きさを感じるはずです。濁点の有無で音象が変わってくるわけです。
最後に
音によって印象が変わることを「音象徴」と言います。
常日頃から音・言葉による印象が変化し、日常生活の中で無意識に使っていることがあります。
音象徴はビジネスの印象やイメージにも関わってくるので、仕事の際に意識してみてはいかがでしょう。