「仕事をしなければならない」と分かっていてもやる気が出ないことがあります。
仕事をしなければならないのにやる気が出ないときはどうすればいいのでしょう。そもそも、なぜ「やらなければならない」のにやる気が出ないのでしょうか。
この記事では仕事のやる気が出ないときの原因や対処法などを解説します。「なぜやる気が出ないのか自分の内面が理解できない」「やる気はないがやらなければいけない」というときの一助にしていただければと思います。
仕事の意欲が出ない主な原因
仕事をやらなければならないのにやる気が出ない場合、次のような原因が考えられます。
自分の中に原因が隠れていないかチェックすると共に、周囲の環境にやる気を減退させる要因が隠れていないかも確認してみましょう。
原因①体が疲れているから
体が疲れているときはどうしても仕事に身が入りません。仕事の意欲がないときの原因のひとつとして肉体的な疲労が考えられます。
自分自身で明らかに「疲れている」と把握しているときは、仕事のやる気が出ない原因を自己分析しやすいはずです。しかし、困るのは自覚していない疲労です。
身体の疲労は蓄積します。自分では「疲れていない」と思っても、意外と疲れていることがあるのです。また、眠気などを覚えない肉体的な疲労もあります。
・連勤状態である
・小さな用事や仕事が立て込んでいる
・小刻みの睡眠しか取れない
・体のだるさを覚える
・考えることが多い
・集中する仕事をいくつもこなした(前日まで難しい仕事をしていな、など)
このようなケースでは「疲れた」と自覚していなくても、疲労が原因になっている可能性を考えた方が良いでしょう。
なお、人間には「脳疲労」もあります。脳が疲れて思考や情報処理に遅れが生じているような状態です。体は付かれていなくても脳疲労になっているケースはありますので、身体的な疲労感がない場合は脳疲労が原因になっている可能性も考えるべきです。
原因②心が疲れているから
仕事に意欲が出ないときは心の疲れが原因になっている可能性もあります。精神的に疲労していると思考にも行動にも身が入りません。自然と仕事の能率も落ちてしまうのです。
たとえば、前日まで心配している事柄があったとします。トラブルを解決して「さあ仕事」と思いましたが、仕事の進みがよくありません。こういったケースでは前日までの懸念事項の解決が原因で心が披露している可能性があります。
また、仕事であまりよくないことを言われたり、我慢を強いられたりすると、肉体的には疲れていなくても心が削られて精神疲労の状況になってしまう可能性もあるのです。
仕事が思うように進まないときは心が疲れていないか、精神的に疲れるような出来事が続いていないか考えてみると良いでしょう。心当たりがあれば、精神的な疲労が仕事の進捗に悪い影響を及ぼしている可能性があります。
原因③仕事や人間関係で気がかりなことがある
仕事や人間関係で気がかりなことがあると、どうしても仕事に身が入りません。仕事の最中に悩み事や懸念事項が頭をよぎってしまうからです。ふとした瞬間に悩み事などに気を取られてしまうので、気がかりなことがあると仕事の意欲が出ません。
たとえば、苦手な取引先があったとします。近日中にその取引先と打ち合わせをしなければならない状況でした。このようなケースでは「嫌だな」「憂鬱だな」という気持ちが大きくなるので仕事に身が入らないことがあるのです。
また、仕事の書類の記載を間違えた可能性があったとします。このような状況では「書類、大丈夫だったかな」とかなり気になってしまうはずです。仕事に集中しようとしても書類のことが頭を掠めてしまい、仕事がろくに手につかないことでしょう。
このように仕事で困ったこと、気になっていることがあれば、仕事への意欲が低下します。
原因④私生活の悩みが気になってしまう
仕事について気になっていることや困っていることがあると意欲が低下します。同じように私生活で気になっていることや困っていることがあれば、仕事の意欲が低下する一因になってしまうのです。
たとえば、私生活で役所に書類を提出しなければならないとします。提出期限の迫っている書類でした。書類の提出期限が迫っている状況だと、どうしても気になって仕事に身が入らないことでしょう。
このように、私生活に気になることや困っていることを抱えていると意識がそちらに向いてしまうため、仕事の意欲が出ないことがあります。
原因⑤仕事内容に興味を持っていない
仕事自体に興味を持っていないと、当然ですがやる気が出ません。
たとえば、自分の希望していた業種とは違う業種で仕事をしていたとします。このようなケースでは仕事やその業種で得られる知識や技術に興味を持てないため、仕事の意欲が低下することがあるのです。やはり人間、自分のやりたいこと、好きなことには意欲的になるもの。興味のないこと、やりたくないことに対しては意欲が低下するのは仕方のないことだと言えるでしょう。
また、業種に対しては興味を持っていたとしても、その業務内容すべてに対して意欲的に取り組めるとは限りません。たとえば法律に仕事をしていたとします。文書の作成や専門書での勉強などには積極的に取り組めるものの、伝票などを使った経理になるとやる気が失せてしまいます。このような業務内容によるやる気の有無は多くの人にあることでしょう。
好きな業種の仕事をしても業務内容によっては「やりたくない」と思ってしまうこともあるはずです。やる気が出ない理由にこうした気持ちが絡んでいないか、考えてみる必要があります。
原因⑥報酬や評価が低すぎる
仕事への意欲が低下する原因のひとつとして成果や報酬、評価の低さが挙げられます。
たとえば、営業の仕事をしていて億円単位の商談を成功させたとします。「ボーナスや給与の評価がプラスになるのではないか」と期待していましたが、会社や上司は特に評価せず、給与やボーナスにも営業の結果が一切反映されませんでした。
これでは「自分は頑張って大きな商談を取りまとめたのに」とがっかりすると共に、会社や上司に失望することでしょう。仕事を頑張っても報酬や評価に繋がらない場合、意欲は著しく低下します。
また、自宅で個人事業主をしていたとします。仕事を受注しましたが、時給に換算すると300円ほどしか受け取れない計算でした。これでは「あまりに報酬が低すぎる」「時間の無駄だ」と意欲が低下することでしょう。
このように、仕事の評価や報酬が低い場合や、仕事をしても報酬や評価に繋がらない場合などは、仕事への意欲が低下し、場合によっては一切のやる気を失ってしまいます。
自分の仕事の評価や報酬に不満を持っていないか、不満を持っているからこそ意欲が低下しているのではないかと、自問自答してみてください。
原因⑦天候などの要因がやる気を下げている
天候は人間の気分に影響を与えると言われています。
雨の日は憂鬱になり、気分が落ち込んでしまいます。暑い日はイライラして車の事故を起こしやすいとも言われているのです。
仕事が進まない。やる気が出ないと感じているなら、その日の天気をチェックしてみてはいかがでしょう。雨の日や台風の日に意欲が落ち込んでいるなら天候が関係している可能性があります。
気温や天気で体調不良や気分にムラが出ていないか、セルフチェックしてみましょう。
原因⑧仕事をしている場所の環境が悪い
仕事をしている環境のせいで意欲が落ちているかもしれません。
たとえば自宅で仕事をしていたとします。自宅の周辺で工事をしており、音が気になる状況でした。このような環境では「仕事を頑張ろう」と思っても、工事の音が気になってやる気が出ないかもしれません。
また、仕事を頑張ろうと思っていても、同僚たちにはやる気がありませんでした。周囲のやる気がないせいで「自分だけ頑張っても意味がない」と意欲が低下するケースもあります。
仕事の意欲が低下しているときは、室内や外、勤め先の環境が原因になっている可能性もあります。
原因⑨自分でも気づかないうちに無理を重ねている
仕事の意欲が低下しているときは、知らず知らずのうちに無理を重ねているケースもあります。
たとえば、自分で「できる」と思って仕事のスケジュールを詰めていたとします。自分では「できる」「頑張る」と思っていましたが、仕事に対する意欲が低下していました。
仕事のやる気が出ないときの対処法
仕事の意欲が低下しているときには5つの対処法があります。
ただ、対処する前に「何が原因なのか」について検討する必要があります。その上で原因に合った方法で対処することが望ましいと言えるでしょう。
原因を突き止めるためにできること
仕事のやる気が出ないときは、まずは「なぜやる気が出ないのか」を突き止める必要があります。
やる気の出ない理由に心あたりがある場合はいいのですが、仕事がなかなか進まない場合「どうしてやる気が出ないのだろう?」と、自分自身でも原因がよく分からないことがあります。原因に合った対処をするためにも、まずはやる気が出ない原因は何か突き止め、その上で対処法を検討するという流れがおすすめです。
原因を突き止めるための主な方法には次のようなものがあります。
・報酬や仕事環境のやる気の出ない原因が潜んでいないか、考えてみる
・自分自身で記録を付けてみる
・周囲の人に自分が何か言っていないか確認してみる
原因は複数重なっている可能性もありますので、原因を突き止めるときもいくつかの方法を試してみると良いでしょう。
① 自分を振り返る
仕事のやる気が出ない原因は何か、まずは自分の気持ちや過去の言動などを考えてみましょう。
仮に、以前から報酬の低さなどが不満であれば、報酬の低さによるやる気の減退が考えられます。ただ、報酬が低いことに加えて仕事での拘束時間が長すぎるということであれば、報酬の低さというより現在の仕事の条件そのものに不満を抱えているということになります。
自分がどのような不満を抱えているか、書き出してみてはいかがでしょう。不満点を書き出すことで「自分のやる気が出ない原因はこれか」と把握できますので、改善のための手がかりになります。
② 記録を付ける
仕事の意欲が出ないときはメンタルや体調面の悪さも関係していることがあります。自分の気分の浮き沈みや体調の好調・不調を記録として付けてみてはいかがでしょう。
たとえば、天気や気温と一緒にその日の体調も記録したとします。天気や気温と一緒に記録することで、仕事のやる気や体調と天気の関連性が見えてくるかもしれません。
また、気温が高い日に仕事の意欲が失われているなら、仕事をしている場所が「暑い」「日光があたり過ぎる」など、環境的な要因も関係しているかもしれません。
周辺環境や天候などとの関係を見るためにも、記録を付けてみると良いでしょう。
③ 周囲の人への確認
周辺の人に意欲のない日の自分の様子などを尋ねることで原因が分かることもあります。
たとえば、仕事が好きで天気によって体調を崩すといった原因もないのに、仕事の意欲が出ずに悩んでいたとします。自分では原因がよく分からないパターンです。
家族や知人に最近の自分の様子を尋ねてみれば、意外な言葉から原因究明に繋がるかもしれません。たとえば家族に「最近ちょっと顔色が悪い気がする」と言われれば、自分が働き過ぎて疲労が溜まっているという原因に気づく可能性があります。
家族や友人など周囲の人にも話を聞いてみましょう。
対処法①心と体の休息をしっかり取る
仕事の意欲は体が疲れていると出ません。また、心が疲れていても、同じく仕事の意欲は低くなってしまいます。特に心の疲労は自分でも気づきにくいので要注意です。
仕事に対する意欲が低くなってきたときは、まずは心身を回復されるためにも、一度ゆっくり休息を取ることをおすすめします。休息を取った後に仕事の効率や意欲が変化しているか、自分自身であらためてチェックしてみましょう。
対処法②仕事にメリハリをつける
仕事の意欲が低下しているときは、仕事のメリハリを付けるようにスケジュールを見直すことをおすすめします。仕事の拘束時間が長く、ずるずると仕事を続けていても効率が落ちてしまいます。「今日は仕事が進まないから、思い切って休みにしてしまう」このくらいのメリハリを付けてはいかがでしょう。
また、長時間ずっと仕事を続けてしまう人は、「2時間仕事をしたら30分休憩する」など、心や脳を休ませる時間を入れてみると、良いメリハリになります。仕事への意欲も変わってくるかもしれません。
対処法③仕事をする環境を変えてみる
仕事環境を変えてみると、良い気分転換になります。仕事がマンネリ化して意欲が失われているなら、仕事をしている環境を変えてみてはいかがでしょう。小物を変えたり、カーテンなど仕事場の色彩を変えたりするだけで、やる気が変わってくることがあります。
女性の場合はネイルやメイクなどを変えてみても良いでしょう。仕事環境を変えるわけではありませんが、気分が良くなり意欲の上昇に繋がる可能性があります。
また、仕事場の環境に「暑い」「寒い」などの問題があれば、ストーブや冷房などの機器を見直すことも、仕事の意欲アップのために重要なことです。自宅で仕事をしている場合は、仕事をしている部屋を変えてみてはいかがでしょう。
対処法④職場や内容が問題なら転職を検討する
職場の人間関係に疲れている場合や職場環境が悪い場合、労働条件に難があるような場合は、転職も対処法のひとつです。自分に合った職場。自分がやりたい職種。人間関係の良い職場。こういった職場に転職できれば、意欲の上下も変わってきます。
報酬や仕事での拘束時間などが意欲に関係しているなら、転職や副業なども検討してみると良いでしょう。
対処法⑤自分なりの目標を設定する
仕事の意欲が出ない場合は、自分なりの目標を設定する方法もおすすめです。
たとえば、自分で仕事のペースを決められるとします。また、週6日で仕事をしているとします。このようなケースで「5日間で今週の仕事を終わらせる」という目標を設定すれば、休みが1日増える計算です。これもひとつの目標ではないでしょうか。
目標を定めることでやる気の出るタイプは、仕事などに目標を設定する方法で対処してはいかがでしょう。
仕事の目標設定が難しいなら、「資格取得」など仕事に関係のある目標を設定しても良いでしょう。「仕事の後に資格試験の勉強をする」などの予定があれば、そちらの方にも気持ちが向きますので、仕事に対する考え方や意欲が変化する可能性があります。
対処法⑥報酬を設定するのも方法である
報酬に不満があるなら、自分なりの報酬を設定してやる気の低下を防ぐという方法もあります。
たとえば月々1,000円ほど貯金して、半年に一回自分自身へのボーナスとして貯めたお金の範囲内で好きに使う。毎週金曜日だけ好きに外食する。年末にやや高額な物を買う。このように自分自身への報酬・ボーナス(ご褒美)を用意するという方法です。
自分なりのご褒美があれば、仕事の報酬はそう簡単に変わらなくても、やる気が変わってくるかもしれません。
仕事での拘束時間が長い人は「土曜日だけは仕事も家事もしない(一切拘束されない日)」など、お金・物・時間、何でもいいので、自分なりのご褒美を用意してみてはいかがでしょう。
最後に|やる気がないときは「やらない」も方法のひとつ
仕事の意欲が出ないなら、あえて「やらない」という方法もあります。あえて仕事をやらず、好きなことをやってみて、やる気が出たら頑張ってみるという方法も対処法のひとつだと言えるでしょう。
この他には仕事の環境を変えたり、職場そのものを変えたりするなど、さまざまな対処法が考えられます。
意欲が体調の問題でなければ、ちょっとした環境の変化でやる気が出る可能性があります。「自分のやる気が出そうな変化とは?」と考えてみて、変化や気持ちを上手く利用してみてはいかがでしょう。