消費税増税の話にはらはらさせられる毎日です。消費税が10%になれば、今まで108円で買えていたお菓子が110円になります。1万円持っていても、買物で使える金額は実質9千円。千円分は消費税として取られるため、生活の中のガッカリ感がより深まってしまいます。
税金は消費税だけではありません。不動産を持っていれば固定資産税。車があれば自動車税に、ガソリンに対する課税。所得があれば所得税に住民税。健康保険料に年金保険料と、得るより失うものの方が多いのではないかという時代です。
そんな「税金がしんどい時代」に注目されているのがシェアリングエコノミーです。海外ではすでに普及しているシェアリングエコノミー。日本でも盛り上がりの兆しを見せているのです。
シェアリングエコノミーとは何か。どんなメリットがあり、どんなサービスが登場しているのか。税金がしんどい時代だからこそ知っておきたい「持たずに貸し借りするサービス=シェアリングエコノミー」について解説します。
シェアリングエコノミーとは「物の貸し借りサービス」である
シェアリングエコノミーという名前からして難しそうな印象ですが、サービス内容としては実に単純です。シェアリングエコノミーとは、物の貸し借りやシェアをするサービス。
たとえば、家電製品が必要になったら、基本的に電化製品の店に足を運んで買うわけです。大量消費と言われていた時代です。特にバブル時代は羽振りも良かったので、「おう、買え買え」と、必要なら不動産だろうが家電だろうが「買う」という時代でした。バブルは弾けましたが未だに「欲しければ買う」は、生活の基本ですよね。
しかし、シェアリングエコノミーはちょっと違います。欲しければ「借りる」のです。
農家などの場合は、高い農機具や農業機械などは、近隣の農家とシェアして使うことがあります。それと同じ。家電や車など、「他人とシェアする」「必要な時に必要なだけ、必要な物を借りる」「貸し借りを通して共有する」「眠っている(使わない)物を貸し借りで活用する」・・・これがシェアリングエコノミーなのです。
シェアリングエコノミー業界は急速に発展!今後注目のサービス
海外では日本が「シェアリングエコノミーって何?」という頃から、すでに共有や貸し借りのサービスが普及していました。
たとえば、世界中の人と部屋の貸し借りができるサービス「Airbnb」。日本でも民泊などのサービスがありますが、海外の場合はシェアリングエコノミーの精神と共に、丸ごと貸し借りしてしまう。「Worldpackers」は旅先で家に泊めてもらう代わりに、一芸を披露するというサービス。場所と一芸をシェアできるという面白いサービスになります。
ほかには、旅行や仕事の時にペットを預かってもらうシェアリングエコノミー(要するに動物好きがペットホテルをしてくれる)「DogVacay」や、料理を作りたい料理好きと何か手作りのものを食べたい人を繋ぐ「Feastly」。自転車やスキーの、スノーボードを借りられる「Spinlister」に、必要な物を借りられる人がいるか即座に検索できる「Yerdle」などなど。
海外のシェアリングエコノミーはかなり盛り上がっています。特にカーシェアや不動産シェア(部屋や家を貸す系)は多くのサービスがあり、利用者もかなり多いのが特徴。このシェアリングエコノミーの波は日本にもやって来ており、特にカーシェアは急速な盛り上がりを見せています。
各業界もシェアリングエコノミーに注目しており、日本の市場やシェアはどんどん大きくなっています。ホンダなどは早くもカーシェアリングに参入しています。
シェアリングエコノミーはお得さを求める個人にメリットあり
新しい時代の波ともいえるシェアリングエコノミーは、「持つより借りる」「家にあるものをシェアすることで活用する」ことがサービスの神髄。ただ、ほかにもメリットが多いため、市場やシェアがどんどん大きくなっているという特徴があります。
日本でも拡大しているシェアリングエコノミーは、お得さを求める人には特に大きなメリットが8つもあるのです。
1、スペースを取らない
物を買って所有するわけではないため、スペースを取りません。
必要な度に買っていたら、自宅やガレージが物であふれてしまいますね。必要な時に借りれば、スペースを取りません。本当に気に入ったものだけ身の回りに置けるので、スペース的な節約ができるというメリットがあります。
2、税金や維持費がかからない
必要な車や不動産をなどの物を所有すると、その分だけ税金が必要になります。
不動産を所持し続ければ固定資産税。不動産を取得する時は、不動産取得税が課税されます。車を取得する時は自動車取得税が課税され、所持し続ければ自動車税がかかりますよね。さらに、消費税も。維持費だって必要になります。
物を所有するということは、税金や維持費という支出とイコールです。シェアリングエコノミーの活用によって税金や維持費への支出が減らせ、結果的に手元に残るお金が増えるというメリットがあります。
3、持たざる生活が実践できる
物がたくさんあると、引っ越しが大変です。旅行する時も物が多いと、準備が大変ではないでしょうか。
必要な時に借りれば、物が少なくて済みます。気軽に転居できますし、旅行も旅先で借りてしまえば準備や持ち物に煩わされません。気軽な持たざる生活が実戦できるというメリットがあります。
4、貯蓄しやすくなる
税金や維持費による支出が少なくなるため、自分のためのお金が増えます。
老後は年金以外に2,000万円以上必要というニュースが波紋を広げました。賢くシェアリングエコノミーを活用すれば、貯蓄分も捻出しやすくなります。
5、新しい製品をどんどん試せる
家電や車は次から次へと新しい製品が出ます。「新しい物を」「良い物を」と追い続けていれば、キリがありません。シェアリングエコノミーを利用すれば、税金や維持費、購入費用をおさえつつ新しい製品に触れる機会が増えますよ。
6、眠っている物や資産を活用できる
シェアリングエコノミーは貸し借りのサービス。貸し借りは、借りる側と貸す側がいないと成立しません。借りる側にもスペース削減や支出削減というメリットがありますが、貸す側にもメリットがあります。シェアリングエコノミーによって、資産を活用できるというメリットです。
シェアリングエコノミーではタダで貸してくれたり、「いらないから持って行ってくれ」といったりするサービスを提供しているアプリやサイトもあります。中には有償で貸し借りできるシェアリングエコノミーも。
「週に1度しか使わない」「買ったはいいが、寝かせてある」という物がある人は、シェアリングエコノミーで稼ぐこともできます。1つの副業のかたちですね。
7、余っている時間も活用できる
リタイアメント世代が増える中、時間を持て余す人も急増中です。
シェアリングエコノミーの中には時間をシェアできるタイプのサービスもあるので「時間が余っている」「特に趣味もなく、やれることがあればやりたい」という人は、自分の持て余した時間を誰かとシェアできてしまうというメリットがあります。時間をシェアする中で趣味ができてしまうかも。
8、人との繋がりが持てる
仕事を退職すると、人と接する時間が急激に減ると言われます。趣味があって人と交流する人はいいのですが、無趣味な人などは「最近、人と話さなくなったな」ということも。
シェアリングエコノミーには時間やスキルをシェアするタイプのサービスがあるため、サービスを通して人との繋がりが持てるというメリットがあります。リタイアメント世代の時間の使い方にもぴったりということですね。
シェアリングエコノミーのデメリット
デメリットがあるとすれば、地域によっては一部のシェアリングエコノミーが使い難いこと。
たとえば、地方都市の方が持ち家率は高めです。持ち家があれば、家を借りる系のシェアリングエコノミーはあまり普及しません。観光客を狙うくらいでしょうか。
また、自動車がないと生活できない地方都市も、自動車のシェアリングエコノミーは普及し難いかもしれません。毎日のように必要になるため、シェアリングエコノミーで借りるのは面倒だからです。ただし、自動車の台数の削減(普段は軽自動車1台で生活し、必要になったら普通車を借りるなど)には役立ちます。
使い方次第というところですね。
日本のシェアリングエコノミーにはどんなサービスがあるの?
日本のシェアリングエコノミーは5つのタイプがあります。
1、物をシェアするタイプ
物をシェアするタイプとは、シェアリングエコノミーの中でも「物の貸し借り」や「物の販売」をするタイプのサービスです。
不要な物を必要な人に売ることによってシェアする。必要としている人に、自分の持っている物を貸す。これが物タイプのシェアリングエコノミーになります。
有名なところでは、ハンドメイド品を販売できる「minne」や画像素材の販売・シェアができる「PIXTA」などがあります。
2、空間をシェアするタイプ
空間をシェアするタイプのシェアリングエコノミーとは、不動産や宿泊場所をシェアするタイプのサービスです。
泊まりたい人に宿泊場所を提供する。住みたい人に住む場所を提供する。これが空間シェアタイプです。テレビでもよく取り上げられるタイプのサービスですね。
空間タイプの代表的なサービスは、何といっても「Airbnb」。宿泊場所から体験場所までシェアできる、元祖的なサービスになります。
3、スキルをシェアするタイプ
シェアリングエコノミーの中でも自分の特技を生かして稼ぐ副業的な性質の強いサービスです。司会や文筆、絵を描いたりプログラミングを手伝ったりなど、自分の芸(スキル)をいかして貢献するサービスになります。
スキルをシェアするタイプの代表格的サービスは「クラウドワークス」や「ココナラ」。クラウドワークスは、副業サイトとしても有名ですね。
4、移動をシェアするタイプ
移動をシェアするタイプとは、いわゆるカーシェアやサイクルシェアなど。車会社などの大きな企業が積極的に参入している分野でもあります。
移動をシェアするタイプの代表的なサービスには「notteco」などがあります。
ソフトバンクの社長が「ライドシェアを解禁しようぜ」と声を上げたことでも話題になりました。法整備が進めば、かなり先進的なサービスが出てくるのではないかと期待されています。
5、お金をシェアするタイプ
お金のシェアをするタイプのシェアリングエコノミーは、いわゆるクラウドファンディングです。
アイデアはあるが、お金がない。事業を考えているので、資金出してくれる人を探している。要するに、お金を出してもいいという人と目的がある人とを結びつけるサービスです。
有名なお金シェア系のサービスには「CAMPFIRE」「Makuake」「Readyfor」があります。
シェアリングエコノミーのまとめと参考書籍
ここまでのまとめとしては・・・
1.シェアリングエコノミーとは「物のシェア」「共有」「貸し借り」サービス
2.海外ではシェアリングエコノミーが盛り上がっている
3.これからは「買う」「所有」ではなく「共有」や「借りる」時代ではないか
4.日本でも市場やシェアがどんどん大きくなっている
5.大手企業もシェアリングエコノミーにどんどん参入している
6.シェアリングエコノミーは税金や維持費がお得になるというメリットあり
シェアリングエコノミーを事業に取り入れたい人や、生活に取り入れてさらに生活を豊かにしたい人のために、書籍も多数刊行されています。
シェアリングエコノミーは市場がどんどん拡大しており、フリーランスの中では「スキルの提供」「時間の共有」といったシェアリングエコノミーで生活している人もいます。副業したい人や、消費税増税によって大きくなる税金負担を削減したい人も注目したいのがシェアリングエコノミーです。
日本でもさらに大きくなる分野だと予想されているので、シェアリングエコノミーという言葉自体に敏感になっておきたいですね。